弥彦で育った種なしぶどう「デラウェア」
弥彦村では、「デラウェア」の生産が盛んです。県内最大級の産地として、デラウェアの「弥彦ブランド化」を目指しています。「種なしぶどう」の愛称で知られるデラウェアは、甘味と酸味のバランスが良い、初夏が旬の小粒ぶどう。お盆の時期に合わせて収穫できるため、地元では仏壇のお供え物や帰省した子供たちへの手土産として親しまれてきました。2013年からは「ふるさと納税」の返礼品に採用され、県内外から注目が集まっています。
なぜ弥彦でデラウェアの栽培が盛んに?
戦後の日本では、国の補助事業として「減反政策(げんたんせいさく)」を開始しました。政府は米の生産調整を行うため、各自治体に作付面積の削減を要請。弥彦村では、田んぼだった農地で園芸品を栽培するほか、米に変わる収入源としてデラウェアに目を付けました。1970年に作付して、ネオマスカットやキャンベルなどの品種と共にデラウェアの生産がはじまりました。
弥彦の地形を活かした栽培方法
弥彦村には、「井田丘陵(いだきゅうりょう)」と呼ばれる小高い丘が広がっています。減反政策のタイミングで雑木林だった井田丘陵を開拓し、緩やかな斜面に沿ってデラウェアの木を植えました。丘陵地でのデラウェア栽培は、水はけや日当たりの良さが利点となります。余分な水分を吸収することなく、太陽の光をたっぷりと浴びて育った弥彦のデラウェアは、とっても甘くて濃厚な味わいです。さらに近年では、地元で育てたキノコの廃菌床を有機質肥料として再利用。微生物の働きを活性化させることで、ふかふかで栄養価の高い土壌を作っています。
弥彦産デラウェアが美味しい理由
弥彦村を管轄している「JA越後中央」では、糖酸比の基準値をクリアしたデラウェアのみを収穫・出荷しています。糖度が高くとも酸度とのバランスが悪ければ、甘味を感じることはできません。理想の糖酸比になるまで木の上でじっくりと熟成させることで、ジューシーな甘さと爽やかな酸味のデラウェアになります。「自然の力で育った美味しいデラウェアを食べてほしい!」という生産者さんの思いから、「収量」よりも「食味」を重視。こうした手間ひま惜しまない努力が、「弥彦ブランド」の高い品質につながっています。