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生産者紹介

vol.6 「アレッタ」の生産者を訪ねて

農産物:アレッタ
生産者:農事組合法人 アグリさくら

【プロフィール】
弥彦山の麓で、アレッタ・いちご・コシヒカリなどを栽培する農事組合法人。弥彦村のブランド米「伊彌彦米」の生産も行っている。今回は、アレッタ栽培担当・深澤克海さんにお話を伺う。深澤さんは、新潟県農業大学校を卒業後、同社に入社。アレッタの担当として、営業・広報活動にも力を入れている。

 

さまざまな料理に使える万能野菜「アレッタ」

「アレッタ」は、ブロッコリーとケールを掛け合わせた日本生まれの野菜。弥彦村では、2019年から栽培を開始しました。

「海外生まれのような名前ですが、実は日本で生まれた野菜なんですよ。花蕾(からい)・茎・葉の3つに分かれていて、まるごと全部食べることができます。茎はアスパラガスのような甘さで、花蕾はブロッコリー、葉は苦みを抑えたケールのような味わいです。ケールと聞くと『強い苦み』をイメージする方もいらっしゃると思いますが、あと残りしないさっぱりとした苦みで食べやすいですよ!」

深澤さんはアレッタの栽培担当をしているうちに、その魅力にどんどん引き込まれたそうです。

「就農するまでアレッタの存在を知りませんでしたね。アレッタの栽培担当と言われても、ピンときませんでした(笑)。でも、知れば知るほど魅力的な野菜なんですよ!主役級の料理にも、付け合わせなどの脇役にもぴったり。天ぷらやおひたし、スープなど、アイデア次第でさまざまな料理に使える万能野菜です。私はよくオイルソテーにして食べています。ニンニクや鷹の爪と一緒にオリーブオイルで炒めて、ペペロンチーノにするのがおすすめです。」

 

稲の育苗ハウスを有効活用するために開始

「弥彦村でのアレッタ栽培は、稲の育苗ハウスを有効活用するためにはじめられました。さまざまな野菜が候補に挙がりましたが、収穫時期や環境を考慮した結果、アレッタが適任だったそうです。毎年9月中旬に定植して、11月中旬から収穫がはじまります。」

アレッタは夏でも栽培できる野菜ですが、弥彦村のアレッタの収穫時期は11月~3月くらい。冬に栽培するメリットは、育苗ハウスの有効活用だけではありません。

「やっぱり寒いほうが甘みがのるんですよ。夏のアレッタより、冬のアレッタのほうが甘みが強いと思います。収穫シーズンの後半になってくると、甘みと苦みのバランスが徐々に変わってくるので、弥彦村では3月中で収穫を終了しています。3月以降は稲の育苗をするので、どちらにせよアレッタはすべて引っこ抜くんですけどね(笑)。実はちょっともったいない気もしているので、シーズンが終わったアレッタを何かに有効活用できないかなと考えています。」

 

有機質肥料を使った土づくりで甘みを引き出す

アグリさくらでは、有機質肥料を使った土づくりに力を入れています。

「アレッタ本来の甘みをさらに引き出すため、有機質肥料を使用しています。花蕾がつきはじめる前から、有機質肥料のみの栽培に切り替えるんです。こうすることで、苦み成分が抑えられて甘みを感じやすくなります。あと、ハウスの土壌調査は定期的に行っていますね。稲の育苗をした後だと、稲に与えた肥料が流れて土壌の成分が変わってしまうんです。バランスを見ながら不足分を補填しています。」

また、アレッタは湿気に弱い野菜なのだそう。ハウスの換気も大切な作業です。

「湿度計を見ながら、ハウスのドアを開けたり閉めたりして湿度管理をしています。弥彦村では、『弥彦おろし』と呼ばれる強い季節風が吹くんですよ。換気のタイミングで、ちょうど弥彦おろしがハウスに吹き込み、アレッタの苗が折れてしまうこともありますね。単なる換気ではありますが、弥彦村では細心の注意が必要なんです。」

 

人間よりもアレッタ優先で行う出荷作業

深澤さんが「一番好きな作業」と語るのが、アレッタの収穫作業。弥彦村では、収穫する際の基準があるそうです。

「弥彦村では、ほかの産地に比べて若い状態で収穫しています。花蕾を成長させすぎると苦みが出てきてしまうんです。食感が良く、旨味がのったタイミングを見極めています。収穫する際は、その場でかじって食味のチェックもしますね。一年間の答え合わせができる瞬間です。」

収穫したアレッタは、できるだけ新鮮な状態で出荷されます。

「収穫後もお客様のもとに届けるまで、まだまだ気を抜けません。アレッタは熱に弱く、手で持つだけでも傷んでしまいます。そのため、選別や出荷の作業中は基本的に暖房を付けずに、ほぼ外気温の中で行っています。車で配達する際も、暖房は入れません!人間よりもアレッタ優先です(笑)。」

 

「弥彦村といえばアレッタ」という存在にしたい

「目指しているのは、花蕾・茎・葉のバランスが良いアレッタですね。見た目の美しさはもちろん、それぞれ異なる食感や味わいを楽しんでもらいたいです。味わいに関しては、甘みの中にしっかりと旨味を感じるように作ることが目標ですね。」

そんな深澤さんが育てたアレッタ。地元の直売所では、リピート買いするファンも多いんだとか。

「意外と年配の方がリピートしてくださることも多いんですよ。直売所のスタッフさんから『POPのコメントを考えてほしい』と頼まれることもあります。購入してくれたお客様をがっかりさせないように、その日に並ぶアレッタの味わいに合わせて宣伝文句を変えていますね。地道にファンを増やして、『弥彦村といえばアレッタ』『アレッタといえば弥彦村』と言われるくらいの存在に育てていきたいです!」